現在実施中の育種課題

課題背景  食の西洋化、伝統料理の衰退、生活スタイルの変化等による栄養バランスの良い食生活の崩壊は、栄養不足や生活習慣病等の増加をもたらし、わが国の将来に暗い影を落としています。また、野菜や果樹類の消費量の減少は、地域産業の要である園芸農業の活力低下、さらには関連産業を含んだ地域経済の衰退を招いています。将来にわたり持続可能な社会を構築する上で、「食の健康」を推進し、野菜や果物の消費回復による国民の健康の増進を図るとともに、地域農業を再生することがわが国の喫緊の課題です。そのためには、国民が常に活動的・健康的な生活を送るために必要となる安全で栄養価に富む食料の供給力と、魅力のある高付加価値農産物の開発力を維持・向上させることが特に重要です。品質・価格面で魅力のある農産物を供給できる体制を構築するためには、従来型の栽培体系の改善だけでは限界があり、生産物そのものを改良して省力化に結びつけることや、栄養面で優位性のある高付加価値品種等を開発することなど、品種開発が果たす役割はますます大きくなっています。
有用遺伝資源の探索 世界的にも主要な野菜であるウリ科や熱帯アジア原産の野菜類を対象に、遺伝資源の特性評価と、加工・調理適性、省力栽培適性及び耐病性などに関わる有用形質をもつ遺伝資源の探索を行っています。最近では農林水産省委託プロジェクト研究に参加し、アジア由来のキュウリ、カボチャ、アマランサス遺伝資源の増殖、特性評価及び様々な環境下での栽培適性の評価を行っています。

育種素材・品種開発  本分野では世界的にも主要な野菜であるウリ科作物、熱帯アジア原産の野菜類及びソバを対象に、遺伝解析等の材料となる優れた固定系統の育成を進めています。また、生産者、流通加工業者及び最終消費者にとって魅力のある先導的品種や、その育種素材となる品種の育成にも取り組んでいます。品種の育成では国立研究開発法人等の公的研究機関や民間種苗会社と共同開発を積極的に行っています。
研究項目と実施課題
有用遺伝資源の探索
  • 葉菜用アマランサスの有用遺伝資源の探索 (吉岡)
  • キュウリ褐斑病・炭疽病抵抗性遺伝資源の探索 (吉岡)
  • メロン単為結果性の育種素材探索 (吉岡)
  • ソバ(非公開課題) (原・大澤)
育種素材・品種開発
  • 早生高収量ソバ育種素材・品種開発(原・大澤)
  • 高ルチン含量ソバ育種素材・品種開発(原)
  • 耐倒伏性ソバ育種素材・品種開発(原)
  • ソバ(非公開課題)(原・大澤)
  • 葉菜用アマランサスの育種素材・品種開発 (吉岡)
  • メロン単為結果性の育種素材・品種開発 (吉岡)
  • メロン(非公開課題) (吉岡)

関連する外部資金による研究

作物別
ソバ
  • 農林水産省 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業・実用技術開発ステージ(育種対応型):機能性を有し機械収穫に適する高品質新品種の育成と「信州ひすいそば」ブランドの強化 / 2014-2016年度
アマランサス
  • 農林水産省 海外植物遺伝資源の遺伝特性解析・収集プロジェクト 気候変動対応と国内農業競争力強化のための海外植物遺伝資源の特性解明:③海外アマランサス遺伝資源の特性解明 / 2014-2018年度
キュウリ
  • 農林水産省 海外植物遺伝資源の遺伝特性解析・収集プロジェクト 気候変動対応と国内農業競争力強化のための海外植物遺伝資源の特性解明:①海外キュウリ遺伝資源の特性解明 / 2014-2018年度
メロン
  • 科学研究費補助金・若手研究(B) メロンの単為結果性の遺伝学的解析と育種的利用に関する研究 / 2013年度(2011-2012年度は野菜茶業研究所で実施)

  • 科学研究費補助金・若手研究(A) キュウリ属作物の果実品質改良に寄与するゲノムデザイン育種基盤の構築 / 2014-2017