ニュース 詳細

大学院生が植物見本園でキバチに関する新発見

(2016.11.14)

 生命環境科学研究科後期2年の蔵満君(生物圏資源科学専攻)が植物見本園(農林技術センター筑波実験林)のベンチで弁当を食べているときに、たくさんのクロヒラアシキバチ(木の幹に潜って木部を食べるハチ) や寄生蜂類が一本のクマノミズキの幹に集まっているのを偶然見つけたのは2015年4月のこと。文献を調べてみるとこのキバチや寄生蜂の生態に関する知見はほとんどないことがわかった。
 そこで彼はより詳細な観察をしようと、 翌2016年4月に再び植物見本園に行ったが、そこにはもうクマノミズキの姿が無い。同実験林技術職員の山田秀雄氏に尋ねると、「虫に加害されて木が枯れていたので切り倒した」とのこと。観察の好機を逸したかと落胆していると、 山田さんから「どんな虫が幹に潜んでいるのか観察しようと思って、加害木を保管している」と告げられる。これ幸いと、さっそく加害木を薪割り機で割ってもらい内部を観察したところ、前年見たキバチや寄生蜂類の幼虫や蛹が発見された。
 これらの観察から、クロヒラアシキバチの新寄主植物の発見、クロヒラアシキバチに対して3種類の寄生蜂が寄生していることの発見など、多くの新知見が得られた。そこで、蔵満君は急いでそれらの知見を論文にまとめてハチ類の専門誌 Journal of Hymenoptera Researchに投稿したところ、アクセプトされ、最新号(10/28出版)のオンラインジャーナルに掲載された。
 身近なところに生物多様性が豊かなフィールドがあるのは筑波大学の良さであろう。掲載論文は下記の通り。

掲載論文: Kuramitsu K, Kosaki A, Ishihara T, Yamada H, Watanabe K (2016) Infestation of the woodwasp Tremex apicalis Matsumura (Hymenoptera: Siricidae) on the large-leaf dogwood Swida macrophylla (Wall.) with biological notes on its parasitoid wasps. Journal of Hymenoptera Research 52: 71-79
http://jhr.pensoft.net/articles.php?id=10060

クロヒラアシキバチ 寄生蜂エゾオナガバチ
クロヒラアシキバチ(左)と寄生蜂エゾオナガバチ(右)

[ 記事一覧ページはこちら ]

ページ先頭へ戻る